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なぜ大人になってもリンゴ一つ描けない人がいるのでしょうか?言語や知識・数学等、学校で勉強する一般的な課目は年齢と共に上達し、個人差はあるものの誰でも年齢相応の能力を身につけていきます。ですから18歳にもなれば社会で仕事をしてゆく事も、生活してゆくことも問題なくできるのです。では描くことはどうでしょうか?描く力も脳の知覚ですから他の能力と変わりありません。しかし大人になってもリンゴ一つ描けない、描いても対称を正確に描けない方が多数います。これはどうしてなのか?
この理由は2つあります。
1つは年齢に伴う美術の学習のあり方に問題がある場合です。描く能力も他の科目と同じように、英語ならアルファベットの書き方、読み方から初め、そののちグラマーを学び、リーディング、ライティングを学び、徐々にレベルUPした内容になってゆくのが普通です。他の科目でもそれは同じだと思います。では小学校の図画・工作から中学の美術、高校の美術と、描く事に関して基礎から勉強してきたでしょうか?大抵は美術の時間は「遊び」的な感覚で出された課題を、意図もその目的も分らずひたすら制作に励んでいた方がほとんどだと思います。美術の授業の目的は本来、1.美的感覚の成長(センス)2.発想力の成長(アイディア)3.表現力の成長(デッサン)を担う科目であったはずなのです。しかし美術の授業時間数の減少や指導教諭の能力不足等のため、ますます美術能力に欠ける大人
が増えているのはたいへん残念な事でもあります。
もう一つは「知識」と「視覚」の葛藤によって起こる食い違いです。人間は成長すと「見たとおりに描く」より「知っている通りに描く」に偏りがちです。見えるものを否定して知っているとおりに正したい誘惑に駆られます。この誘惑に抵抗して「視覚的な体験」を楽しむ事からデッサンは始まります。描けない人の多くに見られる事に、モチーフの言語化があります。たとえばリンゴをデッサンする場合、先に「リンゴとはこうゆうものだ」という先入観が先走ってしまい目の前にあるりんごを「物体」として捉えなくなる現象です。今までの生活で得た知識が先入観となって観察を妨げるのです。うまく描けないときは先入観を捨てて目の前にある「もの」を一生懸命「うつす」という子供のような感覚に戻って描くことが大切です。スポーツと同じでやり方を知っていても経験を重ねないとできないように、デッサンもよく観て描くことを繰り返さないと上達できません。
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